アルヒ動物病院は、札幌の動物病院です。イヌ・ネコ・ハムスター・ウサギ・フェレット・他小動物の診療をおこなっております。
犬や猫は人と比べると比較的よく吐く動物です。
その原因は様々で、生理現象として吐くこともあれば、深刻な病気が潜んでいることもあります。
全て合わせると200前後にもなり、嘔吐の症状だけで原因を特定するのはなかなか困難です。
また一般的に食べた物を口から戻すことを嘔吐といいますが、その吐いた内容によって「吐出」と「嘔吐」に分けられます。
吐出:食べた直後に起こりやすく、胃に到達する前に吐き出されるため未消化のことが多いです。
力強く前に飛ばすように吐き出します。繰り返す場合は口腔、咽頭、食道に原因があるかもしれません。
嘔吐:胃や小腸上部から、ある程度消化された内容物や消化液を吐きます。
吐く前に口をペチャペチャさせたり、ゲーゲーと肩を上下させるような動き見られ、下を向いて吐きます。
嘔吐の中枢は脳の延髄にあります。
嘔吐中枢からの命令で胃の出口が閉まり、食道と胃の入り口が緩み、逆流運動が生じます。
嘔吐は大きく2種類に分けられます。
「中枢性の嘔吐」:嘔吐中枢を直接刺激して起こる。
脳の外傷、脳腫瘍、乗り物酔い、尿毒症、肝不全など
「反射性の嘔吐」:消化器などを介して嘔吐中枢を刺激させる。
毛玉の嘔吐、胃腸障害、膵炎、激しい疼痛など
吐いた後に元気や食欲がいつも通りで吐き気が続かないようであれば、特に心配ありません。
しかし普段から吐きやすいからといってそのままにしておくと、命にかかわってしまうこともあります。 少しでも早く異変に気付いてあげるためにも、普段からよく観察しておくことが大切です。
<観察ポイント>
回数は?-1日に何度も吐く、毎日吐く、週に何度か吐くなど
様子は?-元気がある、ぐったりしている、ヨダレが出ているなど
タイミングは?-食べてすぐや飲水後、食後しばらく経ってから、不定期、いつも同じ時間帯、トイレの後など
内容は?-食べ物(消化されているか未消化か)、胃液などの消化液、異物や血液が混じっているなど
色は?-白っぽい、黄色っぽい、茶色っぽい、赤黒いなど
その他の症状は?-下痢、熱がある、痙攣を起こしている、尿の異常(多飲多尿、出ない、ポタポタ)など
*要注意症状*
・何度も繰り返し吐く-食事、飲水などしていないのに吐く場合は特に注意が必要です。
・腹痛を伴う-苦しそうに背中を丸めてうずくまっているときは腹痛の可能性があります。
・吐物に血液が混じっている-特にコーヒー色(血が古くなった色)の場合は重篤な潰瘍や腫瘍の疑いがあります。
・吐物に異物が混じっている-異物が胃に残っていたり、腸まで留まってしまうと緊急手術が必要となります。
・吐物が便のような臭いがする-腸閉塞をおこしている可能性があり、とても危険です。
・他の症状を伴う-激しい下痢を伴う場合、急激な脱水を起こしショック状態になることがあります。尿が出ていなくて吐いている場合は尿毒症を引き起こしている可能性があり、かなり危険な状態です。