アルヒ動物病院は、札幌の動物病院です。イヌ・ネコ・ハムスター・ウサギ・フェレット・他小動物の診療をおこなっております。
消化器は食物の通過、消化、吸収、排泄を助ける臓器です。口から食道→胃→小腸(十二指腸、空腸、回腸)→大腸(盲腸、結腸、直腸)→肛門までを消化管、消化管とそこに付属する器官(肝臓、胆嚢、膵臓)をまとめて消化器と呼び、犬も猫も人も消化器の構成はほぼ同じです。
食物(栄養素)を体内に吸収しやすいように小さく分解することを消化といい、消化された栄養素などを体内に取り込むことを吸収といいます。
◇口の働き◇
・摂食、咀嚼、嚥下:肉食動物である犬や猫の唾液にはデンプン(炭水化物)の分解酵素アミラーゼが含まれていないため、人に比べて植物系のものを消化するのが苦手です。また口腔内も肉を食べるために特化した構造になっているため、裂肉歯と呼ばれる肉を切り裂くための尖っている歯が発達しており、人のようによく噛んで食べるというよりも口に入る大きさに引き裂いたら丸飲みします。
◇食道の働き◇
・食物を胃に運ぶ、食物の逆流を防ぐ:食道の蠕動運動により食物を胃へ送ります。その食物が食道から口、胃から食道へと逆流しないように、上部(口側)と下部(胃側)それぞれの括約筋が弁のような働きをして調節しています。そして消化管で唯一、横紋筋と平滑筋からなる器官で、犬猫は人よりも横紋筋の割合が多く、意識的に吐き出すことができます。
横紋筋…意識して動かすことのできる筋肉
平滑筋…自分の意志ではコントロールできない筋肉
◇胃の働き◇
・食物の貯蔵:食道から運ばれてきた食物を一時的に貯蔵し、十二指腸での消化の進み具合に合わせて少しずつ送り出します。
・食物の殺菌:胃に食物が入ってくると消化液である塩酸が分泌され強酸性(pH1~1.5)に保たれます。その塩酸が食物などと一緒に入ってきたウイルスや細菌の増殖を抑え、殺菌して腐敗や発酵を防いだりしています。また塩酸によって胃粘膜自体が傷付かないよう、同時にアルカリ性の粘液を分泌して粘膜を保護します。
・食物の消化:食物は胃の蠕動運動(うねるような収縮運動)により細かく砕かれ、胃液と混ざり合いドロドロの粥状になるまで消化されます。胃液には塩酸やペプシノーゲンが含まれており、塩酸は鉄やカルシウムを、ペプシノーゲンは塩酸にふれることでペプシンに変わり蛋白質を消化します。胃には栄養などを吸収する能力はほとんどなく、本格的な消化や吸収は小腸で行われます。
◇小腸の働き◇
・栄養素の消化吸収、水分の吸収:ほぼ全ての栄養素の消化や吸収、そして約80~90%の水分の吸収が小腸で行われます。胃から送られてきた食物は、まず十二指腸で腸液や胆汁、膵液などにそれぞれ含まれる消化酵素によって、タンパク質はアミノ酸に、糖はブドウ糖などの単糖類に、脂質は脂肪酸などに消化されてから、空腸や回腸で吸収されます。小腸の粘膜には絨毛と呼ばれる無数の突起があり、さらにその絨毛から微絨毛と呼ばれる毛のようなものが生えていて、これが内腔の表面積を広くし、より多くの栄養素や水分を効率よく吸収することができるようになっています。
◇大腸の働き◇
・電解質、水分の吸収、糞便の貯蔵:主に結腸でナトリウムなどの電解質と残りの水分を吸収し、液状の内容物を固形化して便を形成します。また、小腸で消化しきれなかった蛋白質や炭水化物の消化・吸収も再度行います。直腸では結腸から送られてきた便を一時的に溜めておき、一定の量に達すると排便反射が起きて排便を促す仕組みになっています。