心臓のこと―Ⅱ2014年07月15日

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心臓の病気

犬猫の心臓病はガンや腎臓病と共に「三大疾病」と呼ばれ、犬の場合、全ての犬の10~15%、10歳以上に限定すると30%以上の子が心臓病であると言われています。弁に異常が起こる弁膜症や心筋に異常が起こる心筋症、感染症によるものなど原因は様々で、どれも一度発症すると一生涯付き合っていかなければなりません。症状が出始めた頃にはある程度進行した状態で、放っておくとどんどん悪化していきます。なるべく初期の段階で発見し進行を遅らせてあげること、また病気が進んでからは症状を軽くしてあげることが治療の大きな目的となります。

 

代表的な心疾患

僧帽弁閉鎖不全症-高齢の小型犬に多くみられる疾患です。左心房と左心室の間にある僧帽弁がうまく閉じなくなり、全身に送り出されるはずの血液が一部逆流してしまいます。初期ではほとんどが無症状なので、心雑音(逆流音)が聞こえて初めて気付くことも多いです。

拡張型心筋症-大型犬に多くみられる疾患です。心筋が薄く伸びてしまい、収縮力が弱まることで血液が全身に行き渡らない状態になります。初期では無症状なことが多いですが、軽度のふらつきや失神が起こることもあるので注意が必要です。

肥大型心筋症-猫で多くみられる疾患です。左心室の心筋が厚くなり内腔が狭くなるため、全身に送る血液が不足してしまう状態になります。まれに血栓ができることがあり、それが腹部の大動脈で詰まると後肢の麻痺を起こします。突然激しい痛みが起こり、数日で急激に状態が悪くなり、突然亡くなることもあるので注意が必要です。前肢と比べて肉球が白っぽくなるのが特徴です。

犬糸状虫症(フィラリア症)-蚊が媒介する犬糸状虫が肺動脈や心臓内に寄生することで起こる感染症です。犬猫ともに感染の可能性があります。ほとんどが慢性で、感染してからの期間や虫体の寄生部位または数によって症状は変化していきます。まれに急性の場合があり、突然真っ赤な血尿をし、1週間ほどで亡くなってしまうケースもあります。

この病気は予防が可能です。蚊の発生時期(北海道だと6月から11月まで)に毎月1回投薬するだけで防ぐことができます。ただしすでに感染している場合は、予防薬を飲ませると激しい副作用を起こすことがあり、大変危険です。毎年予防している方も投薬前には必ず血液検査が必要になりますので、病院で受診してください。

 

検査・治療

治療を始める前、また始めてからは定期的に、心臓がどのくらいダメージを受けているのかを検査します。

・レントゲン検査:心臓の大きさや肺、気管、血管の状態、肺水腫になっていないか、胸水・腹水はないか

・超音波検査:心臓の動き、弁の状態、逆流の程度、各部屋(右心房など)の大きさ、心筋の状態

・血液検査:他に影響を受けている臓器はないかの確認

内服薬  その時の症状と検査結果によって、薬の種類や組み合わせ、量を決定します。

・ACE阻害薬-血管を拡張して血流を良くし、心臓の負担を軽減させる。

・利尿薬-尿をたくさん出させて血液量を減らし、うっ血を改善する。肺のうっ血によって起こる肺水腫にも効果的。ただし全身の水分も一緒に排泄されてしまうので脱水に注意。

・強心薬-弱った心筋に作用して、心臓のポンプ機能を高める。

・気管支拡張薬-気管を拡げることで呼吸困難や咳の症状を緩和する。

 

心臓病は適切な治療をしていても少しずつ進行していく病気です。長時間の運動や極度の興奮、肥満なども心臓の負担になります。また人間食を与え、塩分を取りすぎてしまうことにも注意が必要です。

お家でもなるべく心臓に負担をかけない生活を心掛けましょう。

 

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