アルヒ動物病院は、札幌の動物病院です。イヌ・ネコ・ハムスター・ウサギ・フェレット・他小動物の診療をおこなっております。
1週間前から嘔吐が始まり、徐々に回数が増えてきた、という8歳の雌のニャンちゃん。
一日数回食べたものや、白いアワを吐き、元気がなく、ここ数日は全く食べません。
飲水後、数時間で吐くこともあります。
食べ物やおもちゃを悪戯することはないということです。
嘔吐する原因は胃腸障害のほか、腎不全、肝不全、膵炎、神経障害、子宮蓄膿症、疼痛などです。
今回の仔は、避妊手術をしており、歩行に問題はなく、異常と思われる行動はありません。
お腹を押すと、痛がりますが、X-ray検査、超音波検査では異物や腸閉塞の疑いは低そうです。血液検査ではほとんど異常がなく、腎不全や肝不全でもなさそうです。
超音波検査で、十二指腸の近くに僅かに炎症を起こしている様な場所が観えます。
膵炎の可能性があります。
膵炎は特にネコで診断が難しく、血液検査、X-ray検査、超音波検査でも、ほとんど異常を認めない場合があります。
膵炎の原因は、分からないことが多く、肥満、高脂肪食、感染症、消化器疾患は素因になると言われています。
症状は嘔吐、下痢、食欲不振、体重減少、腹部痛などですが、この症状はすべての膵炎に必ずあるわけではありません。また、合併症として、循環性ショック、腹膜炎、敗血症、炎症が腎臓や肝臓に及ぶことがあります。治療しても症状が進行し、助からない場合も少なくありません。
治療は原因が分かれば、まずそれを取り除きます。点滴をつなげ、抗生物質や制酸剤、制吐剤などを使い、最低でも24時間の絶食絶水で、炎症が治まるのを待たなければなりません。
嘔吐が続く場合はそれ以上の期間、絶食をさせなければならず、体力勝負になります。
嘔吐が止まっても、ゆっくり食事の量を増やして行く必要があり、多くの場合、4~5日の入院が必要になります。
今回の仔は幸い嘔吐が止まり、徐々に食欲も回復し、4日後には退院しました。
膵炎を予防するには、バランスのいい食餌、体重管理、そして定期的な健康診断しかなさそうです。