アルヒ動物病院は、札幌の動物病院です。イヌ・ネコ・ハムスター・ウサギ・フェレット・他小動物の診療をおこなっております。
1ヶ月以上前から食欲が徐々に落ち、涎を流すことが多くなってきた10歳のネコちゃん
食べるときに時間がかかり、痛そうなしぐさをするようです。
診察すると、口の周りが血液の混ざった涎で汚れています。口を触ると痛がり、もちろん口を開けることもいやがります。
口の中は、歯肉口内炎がひどく、出血している部分もあります。歯石もついており、一部、歯が浮いているような場所もあります。
一時的な歯肉口内炎は細菌・ウィルスによる感染、喧嘩などによる口腔の傷、火傷、アレルギー等でも起こります。
今回の仔の場合は、すでに1か月以上も経過し、徐々に悪化しているため、慢性の歯肉口内炎です。
慢性の歯肉口内炎は、涎や採食困難から気づくことが多く、気づいた時にはかなり深刻な状態になっていることもあります。重症例では全くものを食べられず、体重が激減してくる仔もいます。
慢性の歯肉口内炎の原因は、感染症、腎不全、腫瘍など明らかな場合もありますが、不明なことが多く、免疫が関係していると言われています。
細菌と猫のカリシウイルス(ネコの風邪と口内炎の症状)の関与や、猫免疫不全ウイルス(猫エイズ)との関係も指摘されています。
治療は、原因がはっきりしているのであれば、できる限りそれを取り除くことが第一です。原因がはっきりしていない場合、細菌の増殖を抑える薬、炎症を抑える薬、免疫を調整する薬など、その仔の症状に合わせて薬を使います。
歯石の除去、口腔の清浄化、使い物にならない歯の抜歯も必要です。
完全な治癒が難しく、場合によってはすべての歯を抜くこともあります。それでも完治しないことも多く、対症療法に頼らざるを得ないケースも少なくありません。
日ごろから口腔の観察、できれば歯磨きなどのデンタルケアが理想です。