アルヒ動物病院は、札幌の動物病院です。イヌ・ネコ・ハムスター・ウサギ・フェレット・他小動物の診療をおこなっております。
ミネラルの代表的な役割は、骨や歯の成分、体液の浸透圧のバランス維持、細胞・神経・筋肉の機能調整などがあります。ミネラルはバランスよく必要量を摂取することが大切です。ある特定のミネラルが多すぎたり、少なすぎたりすると他のミネラルの吸収に影響が出るため、欠乏症や過剰症を引き起こすことがあります。
犬猫の必須ミネラルは12種類あり、比較的体の中に多く存在する主要元素と、少量で存在する微量元素があります。
<主要元素>1日の必要摂取量が100mgを越えるもの
カルシウム:のほとんどは骨と歯に存在しています。骨の成分として重要な役割を果たすほか、血液凝固、筋収縮、神経の興奮を伝えるなど多くの生理機能の維持に関係しています。
過剰…亜鉛・銅・鉄の吸収を妨げる、四肢の骨格異常 (特に成長期の大型犬)
不足…骨祖鬆症、骨軟化症など
リン:カルシウムやマグネシウムと共に骨や歯の正常な発達に不可欠なミネラルです。
摂取時にはリンとカルシウムとの比率が重要です。(犬 1:1~2:1 猫 1:1~3:1)
過剰…カルシウムの利用性低下を招く
不足…骨の成長阻害、異常嗜好、繁殖低下の原因など
マグネシウム:約半分は骨と歯、残りは筋肉、赤血球、体液に存在しています。神経興奮の抑制や多くの酵素の働きに関与しています。カルシウムとリンの量が多いとマグネシウムの吸収率を下げることになります。
過剰…尿路疾患、皮膚障害、神経障害、痙攣など
不足…神経過敏症、筋肉の虚弱や運動不能、痙攣など
ナトリウム、カリウム、クロール:細胞の内側や外側に存在し、体液利用の調節に関係しています。
これらのミネラルの不足は慢性的な下痢や嘔吐、長期にわたる栄養失調、特定の病気の症状として起こります。
ナトリウム、クロールの不足は成長を遅らせ、過剰は食欲不振を招きます。また、体内の水分と塩分を調節する働きがあるので、熱中症になった場合は水分だけではなく、塩分(ナトリウム・クロール)も一緒に補給することが大切です。
カリウムは神経や心筋の働きに重要な役割を持つミネラルのため、過剰摂取すると、心臓や副腎(腎臓の側にあるホルモンやミネラルに関係する臓器)に負担がかかり、不足すると筋肉の虚弱・麻痺などの症状がみられます。
<微量元素>1日の必要摂取量が100mgを越えないもの
鉄:ヘモグロビンの構成成分として酸素を細胞に運ぶ働きをしています。
鉄を過剰に摂取すると中毒をおこすことがあるので注意が必要です。大量摂取の場合は死に至ることもあります。
過剰…リンの利用性低下を招く、出血性胃腸炎、腹膜炎など
不足…貧血
亜鉛:皮膚や毛に多く含まれているほか、血液、すい臓、腎臓にも存在しています。
糖・脂肪・タンパク質の代謝や酵素機能、免疫機能に関与し、肝臓保護作用を持ち、抗酸化機能もあります。
過剰…貧血、下痢、吐き気、成長障害など
不足…皮膚や毛の変性、成長遅延、角膜炎など
銅:鉄の利用・吸収を高める働きをもっています。また、コラーゲン合成に必要な酵素の成分としても働いています。
銅は蓄積毒となり中毒をおこすため、過剰な摂取は避ける必要があります。
過剰…血尿、肝壊死、脱毛、四肢の痛みなど
不足…貧血、骨格異常、成長遅延、体毛の褐色など
ヨウ素:甲状腺ホルモンの中に存在しています。
ヨウ素が不足すると甲状腺機能障害を招くことがあります。
マンガン:糖質・脂質の代謝に関与し、様々な酵素の構成成分として働いています。亜鉛とのバランスが大切です。
過剰…甲状腺障害、神経障害など
不足…成長遅延、皮膚炎、骨格異常、流産など
セレン:抗酸化酵素の構成成分で、ビタミンA・C・Eと共同して働きます。
抗発癌作用をもつミネラルともいわれています。
過剰…毛や爪の脱落、消化管障害、貧血、肝臓・腎臓疾患など、中毒症状が出やすい
不足…免疫機能低下、繁殖機能低下、乳量低下など