アルヒ動物病院は、札幌の動物病院です。イヌ・ネコ・ハムスター・ウサギ・フェレット・他小動物の診療をおこなっております。
肝細胞が何らかの原因で炎症を起こし壊死してしまった状態を肝炎と呼び、急性と慢性に分けられます。肝炎は様々な原因により引き起こされます。
原因
・細菌やウイルス-犬アデノウイルス、レプトスピラ菌(人獣共通感染症)など
猫伝染性腹膜炎ウイルス、白血病ウイルスなど
・長年の負担 -偏った食事(高タンパク、高脂肪の食事やおやつ)
・他の病気の影響-急性膵炎や溶血性貧血、門脈シャント(血管走行の異常により毒素が肝臓で解毒されない)、猫の肝リピドーシス(脂肪が肝臓に集まりすぎて処理しきれない)など
・薬、毒物中毒 -副腎皮質ホルモン薬(ステロイド)や抗けいれん薬の長期使用。
重金属、タリウム(殺鼠剤)、エチレングリコール(不凍液)、食べ物に寄生するカビなどの誤食。(人間の風邪薬に含まれるアスピリンやアセトアミノフェンは猫で強い毒性を示すことがあるので要注意)
・遺伝的なもの -銅蓄積性肝炎(銅が異常に体に蓄積)。
(ベドリントン、ウエスティ、スカイテリア、ドーベルマンなど)
急性肝炎の初期症状は多飲多尿、食欲不振、嘔吐や下痢などですが、肝臓はギリギリまで症状を出さないので、この時点で肝細胞の大部分が壊されていることになります。
重度になると黄疸や腹水、痙攣などの神経症状、血液凝固不全などの症状が現れます。
※黄疸は肝前性〈溶血性貧血などで破壊された赤血球の過剰処理〉、肝性〈肝腫瘍、中毒〉、肝後性〈胆管炎、胆泥などによる胆管閉塞〉の3つに分けられます。
慢性肝炎では食欲不振、元気消失、体重減少が見られる程度ですが、長期にわたってダメージを受け続けると、再生しきれなくなった肝細胞が繊維に置き換わってしまう肝硬変を起こし、肝臓が全く機能しなくなる状態(肝機能不全)を伴います。
肝機能不全になると、血液中のタンパクの低下やアンモニアの上昇、非再生性貧血、重度の削痩、低血糖などを起こし危険な状態に陥ってしまいます。
肝臓は病気になっても「肝臓が原因」と特定できない症状が一般的で、なかなか気付けないことが多いです。
また原因を除去すれば回復する場合もありますが、肝機能を直接的に回復させる治療法はほとんどないため、いかに予防し、いかに早く見つけ進行を防ぐかが重要となります。
定期的に血液検査で肝臓の数値を測定してあげてください。