アルヒ動物病院は、札幌の動物病院です。イヌ・ネコ・ハムスター・ウサギ・フェレット・他小動物の診療をおこなっております。
腎臓は犬猫ともに左右1個ずつある臓器です。
大きさはその個体によって違いますが、第二腰椎(前から2番目の腰の骨)の2.5~3.5倍が正常範囲となります。
腎臓には様々な働きがあります。どれも重要で、その働きが弱まると、全身に負担がかかります。
・赤血球を作るために必要なホルモンの産生-このホルモンが減少すると貧血を起こす。
・イオンバランスの調節-調整がうまくいかなくなると、むくみ、食欲減退、嘔吐などの症状がでます。
・血圧の調節-高血圧により、腎臓、心臓、脳の損傷に発展する恐れがあります。
・血中カルシウム量の調節-カルシウム量を保てなくなると、骨がボロボロになります。
そして中でも代表的なのが尿を作ることです。
尿を作るときの機能で最も重要な働きにろ過と再吸収があります。
・ろ過…血液と一緒に運ばれてくる老廃物を捨て、尿のもととなる原尿を作ります。
・再吸収…ろ過された原尿から必要なもの(水分など)を再吸収し、体内に戻します。
残りの原尿は濃縮され尿となります。
この働きを行うのが『ネフロン』と呼ばれる腎単位で、猫で40万、犬で80万個程存在し、各ネフロンでろ過、再吸収などが行われ尿が作られます。
ネフロンとは「糸球体」「ボーマン嚢」からなる腎小体と、それに続く1本の「尿細管」のことを指し、ろ過を主にするものと、再吸収を主にするものの2種類あります。
犬と猫では元々の生活環境の違いから、この2つのネフロンの割合に差があり、犬はろ過、猫は再吸収のネフロンが発達しています。腎臓に障害が起こった場合、再吸収の働きが下がりやすい猫は体液を補ってあげると症状が改善する可能性がありますが、犬はろ過機能の働きが下がりやすいため、うまく老廃物を捨てることができず、全身に毒素が回り、尿毒症という大変危険な状態に陥りやすいといわれています。
ネフロンは一度傷付くと再生できません。全体のおよそ70%のネフロンが傷つかないと腎臓病の症状を出さないので、ほとんどの場合、気づかないうちにどんどん進行していきます。できるだけ早期に発見するためには、定期的な健康診断が必要です。検査には血液検査、尿検査、レントゲン検査、超音波検査などがあります。
年1回の健康診断を行い、7歳を過ぎたら最低でも半年に1回は全身チェックをしてあげましょう。