アルヒ動物病院は、札幌の動物病院です。イヌ・ネコ・ハムスター・ウサギ・フェレット・他小動物の診療をおこなっております。
数日前からなんとなく元気がない、あまり運動しない、食欲も落ちている、というミニチュアダックスのワンちゃん。
元々腰の椎間板ヘルニアで治療をした経験のある子なので、再発を疑いました。
よくお話を聞くと、1週間ほど前にタレつきのローストビーフを食べたようです。
ローストビーフのタレにはタマネギやニンニクが含まれている可能性があります。
血液検査をしたところ、赤血球の数が正常の半分程度に減っていました。貧血です。他の検査でも貧血を表わす数字が出ており、血液像では赤血球の中にハインツ小体と呼ばれる顆粒がでています。
貧血を起こす病気は幾つかありますが、お話の内容、血液検査の結果からタマネギ中毒の可能性があります。
タマネギ中毒はタマネギやネギ、ニンニク、ニラなどネギ属の植物に含まれるアリルプロピルジスルファイドという成分が赤血球を壊してしまうことによっておこります。
食品を加熱しても有害な作用は消えないため、調理済みの物は勿論、スープもだめです。
血尿、嘔吐、下痢、貧血、黄疸などの症状が出でます。また、発症は食べてすぐではなく、1日~数日かかります。なんとなく元気がない、少しふらつく程度で見過ごされる場合もあります
体重1kgあたり、15~20gくらいを超えると危険と言われていますが、ワンちゃんによって感受性の違いがあり、少量でも危険な子もいます。
食べた直後なら、吐かせるのが一番ですが、難しければすぐ病院で吐かせてもらうようにしてください
時間がたっていれば、すでに貧血をおこす成分は体に吸収されているため、対症療法が中心になります。点滴、ビタミン剤などを使いますが、重症な場合は輸血が必要になることもあります。
今回のワンちゃんは症状が軽かったため数日で食欲が戻りましたが、赤血球の数が元に戻るまでには1ヶ月ほどかかりました
ネギ属の野菜は、我々が食べる加工食品のなかも含まれていることがあります。人間食は与えないのがベストです