アルヒ動物病院は、札幌の動物病院です。イヌ・ネコ・ハムスター・ウサギ・フェレット・他小動物の診療をおこなっております。
数か月前から乳腺のシコリが大きくなってきたミニチュアダックスのワンちゃん。
1年以上前から小さなシコリはありましたが、ここ数ヶ月で確実に大きくなってきたとのこと。元気、食欲はあり、痛がっている様子もありません。
乳腺腫瘍の可能性があります。
左の4番目の乳頭の皮下に直径1.5cmほどの腫瘤(シコリ)があります。その他、3番目の乳頭近くの皮下に直径5mm、3番目と4番目の乳頭の間の皮下にも直径5mmほどの腫瘤がありました。3年前、右の複数の乳腺腫瘤の切除手術をして良性の腫瘍と診断されています。
女の子のワンちゃんの場合、乳腺腫瘍は全体の腫瘍の約50%と言われています。また、乳腺腫瘍は50%程度が悪性の腫瘍(乳腺癌)といわれ、さらに悪性腫瘍の約50%は極めて悪性度が高く、小さい段階から転移しやすいと言われています。
ワンちゃんの乳腺腫瘍は、とくに女性ホルモンとの関連性が高いと考えられています。 初回発情の前に避妊手術を受けたメス犬が乳腺腫瘍になる確率は、避妊手術を受けていないメス犬の約0.5%、初回発情と2回目の発情のあいだに避妊手術を受けた場合は約8%、2回目と3回目の発情の間に避妊手術を受けた場合は約26%とされています。 また、5歳を超えると乳腺腫瘍が発生しやすくなります。ただ、腫瘍の悪性度と女性ホルモンの関連性はそれほど高くないとの報告もあります。
治療方法は、大きさ、腫瘍の種類、転移の有無等で変わり、外科手術、放射線治療、抗癌剤、免疫療法などいくつかあり、状況に合わせて適切な組み合わせで治療します。
今回のワンちゃんはオーナー様と相談の上、腫瘤を含む3番目~5番目の乳頭、乳腺及び付属するリンパ節を切除しました。
組織検査をしたところ、幸い良性の乳腺腫瘍で転移もなく、完全に取り除かれていました。
乳腺腫瘍は小さくても悪性のことがあり、避妊手術をしていても発生することがあります。少なくとも、1ヶ月に1度は全身を触ってあげることが最善の予防です。