アルヒ動物病院は、札幌の動物病院です。イヌ・ネコ・ハムスター・ウサギ・フェレット・他小動物の診療をおこなっております。
推定3~4歳のニャンちゃん。2ヵ月くらい前から発熱による食欲低下を5~6回繰り返します。発熱以外の異常所見はなく、抗生物質を5日ほど使うと平熱に戻り食欲が出ます
元々野良ネコちゃんで、3ヵ月ほど前から飼われ始めました。そのときの健康診断では猫エイズウイルスと猫白血病ウイルス感染症の血液検査をしましたがどちらも陰性で、血液検査を含め特に問題はありませんでした。
あまりに発熱を繰り返すため、再度猫エイズと猫白血病の血液検査をしたところ、猫エイズウイルスが陽性でした。
猫エイズウイルスの感染は血液検査で分かりますが、ウイルスが体の中で増殖するまでは正確な検査結果が出ないので、感染の可能性がある日から2ヵ月以降に実施するのが良いとされています
猫エイズウイルスはネコ科の動物が感染し、ネコ免疫不全ウイルスの感染によって引き起こされ、免疫機能の低下を特徴とした症状をだします。
発症までは大きく3つの時期に分かれます
急性期:猫エイズウイルスに感染すると、最初の数ヶ月軽い感染症(発熱、下痢等)を引き起こしたり、リンパ節が腫れたりします。幼弱で抵抗力の弱い猫や、既往症を持っている猫ではこの時期でも死亡することもあります。今回のニャンちゃんもこの時期だったため、発熱を繰り返したようです。
無症状キャリアー期:急性期を過ぎると 次第に症状がなくなり、一見健康な猫と見分けがつかなくなりますが、ウイルスは活動しています。この期間は2~5年、場合によっては10年以上続きます。また、他の猫への感染源になりますから注意が必要です。
エイズ発症期:進行した病態が一定限度を超すと免疫不全症候群(エイズ)を発症します。抵抗力が落ちるため感染症が起こりやすく、傷の治りが悪い、目やにや鼻水、口内炎、慢性の下痢、肺炎、貧血等。次第に治療に反応しなくなり、最後には死に至ります。
すでに感染しているニャンちゃん達と接触することで感染が成立します。一番多いのは喧嘩によるもので、交尾、唾液による感染もあります。母ネコから直接子ネコがウイルスをもらう場合もあります
現在、猫エイズの直接的な有効な治療法は確立していません。極力ストレスを与えないようにして栄養状態を良好に保ち、抵抗力の維持につとめて発症を出来るだけ遅らせることしか有りません。エイズ発症期でなければ適切な治療さえ施せば生命に関わることはほとんどなく、発症まで10年以上経過することもあるため、20年近く健康なネコちゃんと同様の生活をする仔もいます。