糖尿病性ケトアシドーシス~嘔吐、下痢、昏睡状態2021年05月25日

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糖尿病性ケトアシドーシスとは、糖尿病が原因で体内に大量のケトン体が増えることで発症する病気です。進行すると昏睡状態になることもあります。

 

血糖のコントロールには「インスリン」と呼ばれるホルモンが必要です。

インスリンは、血液中の糖分を細胞内に取り込む働きをします。

しかし、インスリンの働きが不十分になると、血液から細胞内への糖分の移動が上手くいかず、血液中に糖が余ることになり高血糖になります。

また、細胞はエネルギー源としての糖分が利用できなくなるため、飢餓状態に陥ります。

その結果、体は代わりに脂質をエネルギー源として利用するようになります。

脂質が処理を受けると、その代謝過程で「ケトン体」と呼ばれる物質が産生されます。

ケトン体は酸性を示す物質なので、脂質の代謝によりケトン体が大量に存在するようになると、血液のpHは酸性に傾くようになります(ケトアシドーシス)。

原因:

インスリンが必要なのに治療されていない糖尿病。

うまくコントロールされている糖尿病でも、感染症や薬剤などで血糖コントロールがうまくいかなくなることもあります。

インスリンに依存していない糖尿病でも、大量に糖質を摂取するとインスリンの作用が追いつかず、血糖が急激に上昇することがあります。

症状:

ケトアシドーシスは急速に進行します。

症状は体重減少、嘔吐、下痢、脱水、アセトン臭(果物の腐ったような臭い)。

進行すると昏睡状態に陥り、命を落とすこともあります。

検査:

血液検査で血糖値や電解質などを調べます。

尿検査も必要なことがあります。

治療:

糖尿病性ケトアシドーシスは重度の脱水があり、水分と電解質(NaCl)が失われているため、充分な補液。

インスリンが欠乏しているので、インスリンの適切な投与。

動物の状態に加え、輸液量や電解質、血糖、尿量の変化を常に観察しながらの治療が必要になります。

 

ケトアシドーシスは進行が速いため、少しでも疑う症状が現れた場合、早期に動物病院への受診が必要です。

 

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