イヌの前庭障害2018年06月26日

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前庭は耳の内耳にあり、姿勢や体のバランスなど平衡感覚を司る感覚器官です。
前庭神経に異常が出てくると、頭や体を上手くコントロールできなくなっていきます。
比較的高齢のイヌに多く、突然起こるケースがほとんどです。

原因
耳炎:外耳炎、中耳炎、内耳炎や、耳の腫瘍などで前庭に炎症が起こります。
特発性前庭疾患:原因不明の前庭障害で、年齢や環境、ストレスなどが関係している可能性があります。
髄膜脳炎:感染による髄膜脳炎(犬ジステンパーウィルスなど)や、原因不明の髄膜脳炎(壊死性髄膜脳炎、肉芽腫性髄膜脳脊髄炎など)があります。
小脳梗塞:小脳で発生した虚血性発作や微小梗塞が生じた場合、前庭障害を起こすことがあります。
腫瘍:腫瘍が脳幹などに発生すると、前庭疾患がみられます。この場合には、 徐々に進行する神経症状がみられます。
症状
前庭障害はほとんどの場合、何の前ぶれも無く突然起こります。
頭が片側に傾く(捻転斜頸)、平衡感覚が保てず旋回運動がみられます。
眼球が意思と関係なく動くようになります(眼振)
診断
前庭障害は特徴的な臨床症状である程度診断可能です。
詳細な原因の診断には耳鏡やMRIやCTなどの画像検査や、脳脊髄液検査などを必要に応じて行います。
治療、予後
治療は、副腎皮質ホルモン薬やビタミン剤を投薬します。
迅速な治療が出来れば、1週間ほどで完治する可能性があります。
原因疾患が明らかな場合、それに応じた治療が必要です。
イヌの特発性前庭疾患の予後は一般に良好で、多くが7〜10日で回復するといわれていますが、重症例では3〜4週間かけて回復するケースもあります。
眼振や旋回運動などの症状が消失しても、捻転斜頸だけが残ることもしばしばです。

早い対応が必要ですので、平衡感覚がおかしい、眼球が勝手に動いているなどの症状が出た場合は、早急に動物病院を受診してください。

 

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