後肢が冷たい、動かない、痛がる~ネコの動脈血栓塞栓症2017年04月26日

ホーム > アーカイブ > 後肢が冷たい、動かない、痛がる~ネコの動脈血栓塞栓症

ネコの動脈血栓塞栓症は雄ネコが罹りやすく、何らかの理由で血栓が血流に乗って移動し、動脈に詰まってしまった(塞栓)状態で、非常に致死率の高い病気です。

血栓によって塞栓される部位は、9割がお腹の大動脈が両後肢へ向かう分岐部です。

塞栓により、その先の血流が妨げられるため虚血状態になり、やがて全身に障害が起こります。

稀に前肢や脳、腎臓などの血管に血栓が生じる場合もあります。

予後は非常に悪く、片足が罹患した場合は生存率が7~8割ですが、重度の心不全がある場合や、麻痺したのが両方の後肢の場合の生存率は3~4割程度と言われています。

 

原因

心臓病によるもの、腫瘍性によるもの、原因がはっきりしないものに分類されます。

ネコでは特に肥大型心筋症などの心臓が原因のものが8割を占めます。

症状

何の前触れもなく生じる傾向があり、しばしば非常に強い痛みを訴えます

後肢の動脈塞栓の場合、後肢の不全麻痺、脈拍の触知不能、皮膚やパットの冷感と蒼白などがあります

右前肢に起きた場合も同様です。

肥大型心筋症など心臓が原因の場合は心不全を伴い、肺水腫や胸水貯留による呼吸困難で危険な状態に陥っていることも少なくありません

診断

身体検査(触診)・X線検査・超音波検査・血液検査・心電図など

治療

血栓を除去するため、血栓溶解剤・外科的手術での血栓除去

これ以上血栓形成を止めるため、抗凝固療法や抗血小板療法

心不全が原因の場合はそれに対する処置

しかし、いずれの治療も良好な結果が得られるわけではありません。

入院治療中に亡くなってしまうこともしばしばです。

 

病態、治療や予防もわかっていない部分が多いのが現状です。

特に心肥大と診断された仔は予防も含め、定期的な診察が必要です。

 

このページのトップへ ▲